本町壱地車 側面 各部位解説  [ 部位名称の写真(側面) ]

【見送り (みおくり)】
 小屋根下の左右側面と後ろ正面の部分。
 多くの上地車ではこの3面に彫物を施した大きな板がはめ込まれ(三枚板)、図柄は三枚で何かの題材に統一されていることが多い。
 本町壱地車は、大屋根下の左右側面にも彫物の板をはめ込んでおり、計5面の見送り(五枚板と呼ばれる)を持つ。
 五枚板の地車は数が少なく、大和型では羽曳野市古市の北町・富田林市の五軒家・千早赤阪村の二河原辺の3台が、住吉型では
 本町壱の1台が確認されている。

 [本町壱地車の五枚板]
  ● 後正面「加藤清正の勇姿(かとうきよまさのゆうし) → 詳細写真
    小屋根下右「木村又蔵の勇姿 (きむらまたぞうのゆうし) → 詳細写真
    小屋根下左「後藤又兵衛の勇姿 (ごとうまたべえのゆうし) → 詳細写真
    以上の三枚板は、『太閤記(たいこうき)』より 「豊臣秀吉 朝鮮出兵」を題材とする図柄。
  ● 大屋根下右「武田信玄 上杉謙信 一騎討ち (たけだしんげん うえすぎけんしん いっきうち) → 詳細写真
    「川中島の合戦」を題材とする図柄。
  ● 大屋根下左「秀吉本陣 佐久間の乱入 (ひでよしほんじん さくまのらんにゅう) → 詳細写真
    『太閤記(たいこうき)』より 「賤ヶ獄の合戦」を題材とする図柄。

【枡合 (ますあい)】 → 詳細写真1 詳細写真2
 柱の上端に屋根を支える組み物である「枡組(ますぐみ)」があるが、その枡組と枡組の間の部分。
 本町壱の枡合は、「牡丹(ぼたん)に唐獅子」「谷越えの獅子」。


【虹梁 (こうりょう)】 → 詳細写真
 柱と柱をつないで固定するための水平材。彫物を施しているものが多い。
 本町壱の側面の虹梁は、「牡丹(ぼたん)に唐獅子」。


【木鼻 (きばな)】 → 詳細写真
 「虹梁」の水平材の端から突き出ている彫物。 本町壱は「阿吽の唐獅子」。

【脇障子 (わきしょうじ)】 → 詳細写真1 詳細写真2
 大屋根下と小屋根下の境目にある仕切りの部分。
 本町壱の脇障子は、正面から見て右に「平敦盛(たいらのあつもり)」、
 左に「敦盛呼び戻す熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)」。


【隅障子 (すみしょうじ)】 → 詳細写真1 詳細写真2
 小屋根下の後方にあって、後ろ正面の見送りと側面の見送りとを仕切る部分。「角障子」とも書く。
 本町壱の隅障子は、正面から見て右に「神功皇后(じんぐうこうごう)」、
 左に「 応神天皇を抱く武内宿禰 (たけのうちのすくね)」。


【肘頭 (ひじがしら)】 → 詳細写真
 旗差し(金飾りのある水平部材)を両端で支えている部分。
 左右の肘頭先端には、阿形・吽形の「飛獅子(とびじし)」が彫られている。


【肘頭下 持ち送り】 → 詳細写真
 肘頭の下にある支え部分。
 後ろ正面から向かって左に「阿形の唐獅子(あぎょうのからじし)」、右に「吽形の唐獅子(うんぎょうのからじし)」。


【舞台柱 (ぶたいばしら)】 → 詳細写真
 大屋根を支えている柱。大佐製地車の舞台柱には彫刻が施されている。

【高欄 (こうらん)】
 架木・平桁・縁板と呼ばれる水平材をほぼ等間隔の垂直材で束ね、舞台の周りを囲むように設置したもの。
 垂直材の柱に擬宝珠(ぎぼし)という宝珠をかたどった金装飾具がある高欄を「擬宝珠高欄」と呼ぶ。


【高欄小板 (こうらんこいた)】
 高欄に使われている水平材のうちの平桁と縁板の間の部分。「高欄合(こうらんあい)」とも言う。
 本町壱では、地車を一回りする形でこの部分に「富士の巻狩り(ふじのまきがり)」が彫られている。


【縁葛 (えんかずら)】 → 詳細写真
 高欄に使われている最下部の水平材「縁板」の下の部分。
 本町壱では、地車を一回りする形でこの部分に「一ノ谷の合戦(いちのたにのかっせん)」が彫られている。


【土呂幕 (どろまく)】 → 詳細写真1 詳細写真2 詳細写真3 詳細写真4
 縁葛と台木の間の部分。堺型や住吉型、大阪型など多くの上地車でこの土呂幕部分の柱間に彫刻を施した板が
 はめ込まれているが、元々はこの部分には幕が張られていた。現在も、上地車の型や地域により幕を取り付け
 ている地車も多い。「泥幕」とも書かれる。
 本町壱では、正面に「司馬温公 甕割り(しばおんこう かめわり)」、右側面に「平景清 錣曳き(たいらのかげきよ しころびき)」、
 左側面に「源義経 八艘飛び(みなもとのよしつね はっそうとび)」、後ろ正面に「那須与一 扇の的(なすのよいち おうぎのまと)」
 が彫られた板がはめ込まれている。


【鬼板 (おにいた)】 → 詳細写真
 大屋根や小屋根の前後頂部でにらみをきかせている彫物。建築の鬼瓦(おにがわら)にあたる。
 上地車では、祭礼日に神の依代を示す御幣を鬼板上部につけることが多い。
 本町壱では、獅子が目をひんむいたような「獅噛み(しがみ)」と呼ばれる彫物が大屋根前後に1枚ずつ、
 小屋根後ろに1枚の計3枚ある。
 鬼板の形や地域によって、「飾目(しかめ)」、「鬼熊(おにくま)」などという呼び名もある。


【懸魚 (げぎょ・けんぎょ)】 → 詳細写真
 大屋根下や小屋根下の中央部前面にある彫物。「拝懸魚(おがみげぎょ)」とも言う。
 本町壱の大屋根前面の懸魚は「奇稲田姫 (くしなだひめ)」。


【桁隠し (けたかくし)】 → 詳細写真
 「懸魚(拝懸魚)」の左右隣にある彫物。 「降懸魚(くだりげぎょ)」や「隣懸魚(となりげぎょ)」とも言う。
 本町壱の大屋根前面の桁隠しは、右に「阿龍(ありゅう)」、左に「吽龍(うんりゅう)」。
 「阿」「吽」とはそれぞれ仏教の真言(しんごん)で、梵字(ぼんじ)では、「阿」は口を開いて最初に出す音、
 「吽」は口を閉じて出す最後の音ということから、宇宙の始まりと終わりを表すものとされ、阿吽で一対となっている。


【提灯持ち (ちょうちんもち)】 → 詳細写真
 大屋根や小屋根の前後の提灯をつける場所にある彫物。ただし、すべての地車に「提灯持ち」があるわけではない。
 本町壱地車では、「武者」「雑兵」が提灯を握るという構図になっている。




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